開発キーパーソンに聞く、北斗が如くについての開発インタビュー
東京ゲームショウ2017が終了し、とくに北斗が如くの情報が出なかったが、
週刊ファミ通2017年11月16日号にて脚本・横山昌義氏と、
ゼネラルプロデューサー・佐藤大輔氏が北斗が如くの開発インタビューを受けてました。
以下はそれのまとめ。北斗が如くの開発やゲームシステムについて語られてます。
東京ゲームショウ2017での来場者の反応はどうだったのか?
佐藤:
今のところ、おおむね良い反応をいただいてる。
思っていたよりも、若い世代からも反響があった。
北斗の拳の知名度と人気は、若い層にも根強いですね
横山:
「北斗が如くは原作を再現した内容なのか?」と聞かれることがあるが、
公開中のトレーラーなどをご覧いただくと分かる通り、ちょっと違うんです。
北斗の拳という名前そのものを知らない人は、ほとんどいないと思う。
ただし原作がしっかりと頭に入っているという人は、
その高い知名度に比べると多くないような気もしていて、
私も同じなのでよく分かるのですが北斗の拳と出会うキッカケが、
パチンコやパチスロといった遊技機だったという方もいると思います。
こうした取材でもよく話しているが、北斗が如くは原作ファンだけではなく、
別の入口からのファンにも楽しめる内容にしたいと考えているんです。
原作ファンにも十分に楽しんでいただけるものを作ってますが、
佐藤を筆頭に北斗が如くの開発スタッフの8割ぐらいは原作の大ファンなので、
その点はどうぞご安心ください(笑)
本作は満足できる内容になりそうか?
佐藤:
もちろんです。
ただ原作ファンではあるものの、横山の言うように原作をなぞっただけの
ゲームを作る必要はないかなと。
そこは僕たちが作る新しい北斗の拳を皆さんに提案したいと考えてます。
北斗が如くの開発の進み具合はどうなのか?
横山:
とにかく物量が多い。先ほどの話ではないが、原作をなぞるゲームであれば、
ムービーシーンとバトルに注力していればいいんです。
ところが龍が如くシリーズとのコラボ作である北斗が如くは、
遊びの種類がそれだけには留まらないんですよ。
本作にはバトルの他にも街遊びができる歓楽街があったり、バギーで荒野を走り回る要素があったりと、
これまでの北斗の拳にはなかったアドベンチャーの要素が盛りだくさんです。
これを作り上げるのは簡単ではない。
佐藤:
ただ苦労の甲斐があってか、すでにゴールは見えている。
あとは期日に間に合うように完成度を高めていくだけです。
トレーラーを見るとトゥーンレンダリングに目を引くが、どんなポリシーで作ってるのか?
佐藤:
ご存知の通り、龍が如くシリーズはとにかくリアルなCG表現を追い求めてきた。
その方が作り慣れているのは事実なのですが、北斗が如くでは別のチャレンジをしてます。
というのもリアルなCGで表現された北斗の拳は、それこそ遊技機の演出や、
他社さんのゲームでも見てますよね。
本作では我々ならではの独自性を出したいという強い想いがありました。
試行錯誤の末に生まれたのが、トゥーンレンダリングとリアルCGの中間のテイストを狙う、
原先生の原作に寄せた絵作りだったのです。
原作漫画を思い起こす、良い雰囲気のグラフィックですよね
佐藤:原先生の線の多い描き方や、影の描き方をどうにか取り入れたかったんです。
横山:
開発内部では『原哲夫シェーダー』と呼んでいます(笑)
原先生の描く絵に、いかに近づけられるのかが勝負だと。
ただ原先生のタッチという表現も、難しいところなんですよね。
見比べてみると分かりますが、原作の北斗の拳第1話の絵と、
最近の原先生の描く絵の感じはかなり違うので。
佐藤:
厳密に言うと原哲夫シェーダーは、最近の原先生のタッチを意識しつつ、
やや昔の原作に寄せた表現ですね。
ゲームの操作性は龍が如くシリーズに近いのか?
佐藤:
基本的なゲームの進め方やプレイの感触は、龍が如くシリーズに近いです。
ただバトルに関しては、龍が如くシリーズをベースに置きつつ、
北斗神拳を使って秘孔を突くようなアクションが増えている。
いわゆるガチャプレイでも十分遊べますが、北斗神拳を使いこなせるようになると、
より効率よく敵を倒せたり、派手な技が出せたりするので、さらにバトルが楽しくなると思います。
テクニックを駆使できると北斗の拳らしさというか、北斗神拳を自由に操る感覚が高まるはずです。
秘孔を突くとは別に、龍が如くのヒートアクションらしきものもあるようですが
横山:
秘孔を突いた後に、奥義を発動できるんです。
それが原作にも登場した岩山両斬波だったり、北斗百裂拳だったりする訳です。
秘孔を突いた後に、押す攻撃ボタンや相手の状態により、繰り出される奥義が違ってくるが、
そこは相手によって奥義を使い分けていく感じです。
例えば簡単には攻撃を当てられない素早い敵には、少ないヒット数で奥義まで繋げられる
コンボを使ったりだとか、相手によって攻め方を変えていく楽しさがあります。
秘孔を突いたときも、突いた後にタイミングよくもう一度ボタンを押すことで、いい秘孔が突ける。
つまり、より多くのダメージを与えれるといったような要素もある。
そういったプレイ幅を出す意味で、雑魚敵は龍が如くよりも体力が多めなのか?
横山:
そうですね。ただ北斗神拳を使えば一撃です!
結局はそこに集約させていて、ガチャプレイでも勝てない訳ではないが、
北斗神拳を使いこなしたほうが敵を倒すのが早くなるということなんです。
ケンシロウの能力強化や技習得もあるのか?
佐藤:
龍が如くシリーズと同じように、能力強化の要素がある。
経験値を得て、能力を解放していくことで新たな技が習得できる仕組みです。
その中にトキと修行しないと解放されないものがある。
歓楽街のエデンの規模感はどのくらいなのか?
佐藤:
街自体の広さは、龍が如くシリーズの神室町ほどではない。
ただ街の外に荒野が広がってまして、バギーに乗って自由に探索できるんです。
その荒野を含めるとかなり広いですね。
横山:
ただ砂漠が続いている分けではなく、マップに起伏があり、集落があり、
他にも多くの立ち寄れるポイントが存在している。
佐藤:
そこは探索していて飽きない作りにしてます。
あとはバギーのカスタマイズができるようになっていまして、レースをする要素もある。
スピードやパワーを上げられる他、トルクの調整などもできます。
プログラマーがしっかりと車の物理挙動を作っていますし、
強化素材も充実しているので、かなり楽しめると思いますよ。
横山:
ちなみに荒野では最終戦争前の、旧世界の遺産が見つかることがある。
セガ・マークⅢ版の北斗の拳やアウトランの筐体が荒野で見つかると(笑)
横山:
不意にそういう遺産が見つかることもある(笑)
単純に移動できるマップの広さだけでいえば、神室町の数百倍なので楽しみにしていただければと。
ちなみにエデンという街はスフィア・シティという、水と電気を供給する謎の施設のエネルギーを使い、
作り上げられた歓楽街。街を囲む城壁は、昔の高速道路の橋げたの下にスクラップを
敷き詰めたりして作られているんですよ。
佐藤:
エデンは歓楽街の他に、市場や移住区、ジャンク街などに分かれてます。
横山:
その他、街の真ん中に大きなコロッセオがあるのですが、
ケンシロウはここで戦わざるを得ない状況になったりもします。
プレイスポットは未発表の遊びもあるのか?
佐藤:そうですね。まだあります。
横山:
いわゆるサブストーリーもありますし、あとは宿星護符という要素もあります。
これは特定の登場人物と仲良くなると、護符という形で貰えるお守りです。
宿星護符には、例えばラオウのお守りやリンのお守りといったように様々な種類がある。
装備品のような形で身に着けておくと、ケンシロウの能力が補助されたり、
パンチ力が上がったりするわけです。
そういえば宿星護符をセットした時には、原作漫画のカットが出てくる演出も入れてある。
リンとバットは登場するのか?
横山:
リンとバットも登場します。
バットはバギーのメカニックになったりとか。
ラオウやサウザーなど、原作キャラはどんな形で登場するのか?
横山:
原作とは異なる動機になるが、それぞれ必然性のある形で物語に登場します。
エデンを狙っている場合もあるし、何か隠された秘密を持っている場合もある。
キャラクターを出すことありきで、フラッと街に現れるということはない(笑)
今回は完全オリジナルストーリーなので、例えば原作で何かをしている途中に、
実は訪れていたというような話でもない。
もちろん北斗四兄弟の関係性や、トキが最終戦争の際に病を患ってしまった
というような設定はそのままですが、本作でケンシロウと彼らが出会ったり、
闘ったりする部分はまったく新しい物語を用意してます。
北斗が如くの開発インタビューの感想
そっか、なるほど。全てのインタビューを読んだ感じでは、
「なぜ北斗の拳だったのか?」と考えると、厳密には作りたいから北斗の拳とコラボしたというより、
おそらくは北斗の拳を使った、龍が如くのPR戦略と言ったところが根底にあるんだと思った。
まあ、それも一つの新しい挑戦と言える企画かもしれませんね。
それで流れとしては、龍が如く極2 → 北斗が如く → 龍が如くONLINE → 新・龍が如く
という流れでゲームを発表して、新・龍が如くがうまく波に乗れるための過程の一つかと。
クロヒョウシリーズのように失敗してしまうと、龍が如くスタジオどころかセガの経営にも響くだろうし、
どうにかしてこれまでの龍が如くシリーズよりも、大台に乗せなければいけないはず。
と、考えると伸るか反るか大きな挑戦(賭け)になりそうだ。
失敗したらセガにおける名越氏の立場上も、また危うくなってくるんだろうな…。
いま現状で考えられる、できる限りのことで、CSゲームを売る戦法で勝負する気でいるのだろう。
今はどこのメーカーも長く続けてきたナンバリングを、一度リセットする時代になった気がします。
例えば徐々に売れてきたダークソウルシリーズも『3』で一旦終了させることで、
また新たな客層を取り入れつつ、新規IPで売り出した方が売れると見込んだ戦略です。
これまで作ってきたフロムの実績が崩れる訳でもないので、良い時期で区切って新たなIPを生み出す経営。
みんゴルシリーズにしても、シリーズを重ねる毎にだんだんと売れなくなってきたので、
一度ナンバリングをNewみんなのGOLFとしてリセットしたくらいだしな。
龍が如くシリーズも、その時期だと判断したんだと思うな~
リセットしても売れなかったら、もう駄目だよねw