ゲーム攻略マンのホライゾン ゼロ ドーンの攻略日記

Horizon Zero Dawnのローカライズ担当の浦野圭氏、谷口新菜氏の仕事内容

SIEローカライズの浦野圭氏と谷口新菜氏
■出演(左側から)
  • 長井伸樹(JAPAN Studioシニアプロデューサー)
  • 結(女優)
  • 浦野圭(JAPAN Studioローカライズプロデューサー)
  • 谷口新菜(JAPAN Studioローカライズスペシャリスト)

Jスタとあそぼう#13-Horizon Zero Dawn特集!で2017年2月3日に放送してた、
SIEローカライズチームについての記事。文章が長かったので分けました。
ローカライズ担当の浦野圭氏、谷口新菜氏の仕事内容です。


浦野圭氏のオランダ出張『くいしん坊! BANZAI』

SEIの浦野圭のくいしん坊!バンザイ
結:

え? これBANZAIとか続くんですか!?


浦野:

去年はオランダには5回出張してたんですけど、毎回行く度にローカライズチームに
チーズとか買ってくる。チーズおじさんになって帰ってくる。
海外出張は、1回で大抵は一週間ぐらいの滞在が多い。


谷口:

オランダ行くと、必ずカバン重いよね。


オランダで美味しい肉を食べる

オランダでの食事
浦野:

これ、谷口さんも行ったことあるんですけど、めっちゃ美味しい。


結:

これなんの肉ですか?


浦野:

これね、美味しい肉


長井:

適当だなこれw


谷口:

でもね、本当に美味しい肉で、人生で食べたパスタで一番おいしかった。


長井:

ゲリラゲームズの方と一緒に行ったりするんですか?


浦野:

はい、紹介してくれて。
ゲリラゲームズにいる専属シェフも非常に美味しいので、そこでもよく食べた。


結:

贅沢だな。表情はちょっと彦摩呂さんみたいで。


長井:

宝石箱や~♪


浦野のオランダでの食事
浦野:

食べに行くわけじゃないですよ。
ちゃんと仕事しに行ってますよ皆さん(笑)


現在の進捗を聞いたり、ミーティングで日本ではどういう風にHorizon Zero Dawnを
展開していくか相談したり、前行ったときは一ヶ月いた。一ヶ月でビルドも段々とできてきて、
あとはローカライズスペシャリストの方で手がけたビルドのほうをチェックして、
チーム全員でQAチェックする感じです。ゲリラゲームズとの付き合いは9年、もうすぐ10年になる。


長井:

そうやって段々と食べたり、一緒にいることで仲良くなっていって、
単にデータを受け取って翻訳するだけじゃないんだ。


浦野:

そうです。人間関係大切なんです。


バイオハザード7で見た食べ物

オランダでの食事
長井:

で、もう1個ね。最後にオランダ名物のこちらね。


谷口:

アッ!!! 嫌っ!! もうホント嫌…見たくない…


結:

え!? これなに?


浦野:

これ谷口と一緒に出張行った時なんですけど、オーストラリア・バー?
だからオランダでは無いけども『うじ虫』。フライドうじ虫、醤油味みたいな感じ。


結:

バイオハザード7で見た!


浦野:

でも、慣れれば結構美味しいです。


谷口:

いやっ! 私食べなかったけど。
違う物食べてたけど、匂いが凄くて食欲がなくなるぐらい。焦げた虫の匂い。


結:

なんでこれが最後なの?


長井:

浦野さんがイチオシだって言うから。


浦野:

これはみんな食べてほしいですね。チーズの上に乗っけたり。



Horizon Zero Dawnの翻訳や収録作業について

浦野氏と谷口氏

ローカライズのボリュームはどんな感じなのか?

谷口:

これは何と比較しましょうかね。ウチのSIEのタイトルとしては前代未聞の。


長井:

前代未聞?
ずいぶん前代未聞が毎年更新されてるじゃないですかw


谷口:

いやいや去年は確かにアンチャで更新されたんですけど、アンチャよりも全然w
1.5倍以上はある。でも文章の長さとか考えるとアンチャの2倍ですね。


浦野:

しかもボリュームは上がるのに、スケジュールはどんどん縮んでいくんですよ。


谷口:

スケジュールも前代未聞だったんですよw


結:

去年のJスタとあそぼうの放送で浦野が出てくださった時に、Horizon Zero Dawnのローカライズに、
いろんなホライゾン以外のローカライズチームが関わっているって。


浦野:

そうなんです。みんな助けていただいて。
メインは谷口と大島ですね。


長井:

期間がすごく短くて、量も多いじゃないですか。
どうやってこなすんですか? もう収録だけでもハンパないし。


谷口:

んー…ですね。収録行けない日とかもありますけどね。
書くのが先だから、「とりあえず書いて」みたいなのをずっとやってという。


結:

今、「延期とか無いよね?」ってコメントありますけど?


浦野:

1月31日にマスターしました。


谷口:

収録は去年のうちに終わってるんで。私初めて台本書いてて脳みそが止まりました。
ほんとに「私これ以上考えられない」と思って、
友達に電話して「今から飲みに行こう」と言って飲みに行って復活みたいな。


そもそもローカライズは何年前から始まるんですか?

谷口:

これは今回E3のサンダージョーと戦ってるやつが最初だったかな。
あの時にオーディションをやったんです。
その時は情報があんまり無かったんで、アーロイが全然キャラ違うんですよ今と。
全然考えていなかったんで。


アーロイの喋り方の設定について

「下に入るわよ」とか、女の子ぽい感じで喋ってるんですね。
最初はなんかこう…強いけどやっぱり女の子ぽくしようかなと思っていたけど、
いろいろと資料を貰ったりとかしているうちに「違う感じかな」と思って。
そもそも異端児として育てられてきたので、もうちょっと強い方がいいだろうと。


結:

今のバージョンだと、より野生に近いというか…


谷口:

そうです。野生にしました。
男というか、人とのコミュニケーションの仕方がまだちょっとたどたどしいというか…
異端児なんで人との関わりがあんま無いじゃないですか。


声優はどうやって決めてるんですか?

谷口:

メインの主役は当然オーディションをやって、あとこの人はキーになりそうだなという人を
最初に資料を貰ったときに大体決めて…、やってみると全然キーでなかった時もあるんですけども(笑)

そういう人たちを音響監督さんに資料とか英語の音声を送って、リストアップしてもらうんです。
こういう人がいいんじゃないかと。その人達を呼んでオーディションをやるんですね。


音響監督さんってアニメとか見ると、クレジット出ますがそいう方がやるんですか?

谷口:

そうです。Horizon Zero Dawnやってる方は、映画の吹き替えをかなりやっている方です。
もう、かなりのベテランさんなので。


主役のアーロイのオーディションはどんな感じで行われているのか?

谷口:

結構来たよね。7・8人ぐらい来て絞り込んで、
最初に音響担当さんがかなり絞ってきてくれるんですよ。
それで時間も無いことが多いのでw


長井:

そうですね。ある程度任せて信頼できる人に絞らないとね。
でも、そのぐらいかと思いますよ多くて。


谷口:

私、一番多くて10人ぐらいでしたかね。


結:

へぇー、7人で多いんだ?
よく自分が映画とかのオーディションに行くときって、何十人いることが多いんで。


浦野:

アーロイの時はもうトレーラーはあるので、それをオーディションしながら
レコーディングを行って、それを使ったという。


谷口:

すぐ出さなきゃいけないけど、とりあえずオーディションしなきゃいけないんで、
じゃあ「これ本番だと思ってやってください」と言って撮った。


結:

アーロイの決め手は何だったんですか?


谷口:

なんだろう…?
強いけど少しは女の子ぽさもあって、荒削りな感じがあったですよね。


結:

少し露骨な感じがいいみたいな?


谷口:

露骨というか何て言うんですかね…。
子供ぽさというか、少しだけある人がいいなてゆう感じなんですよね。
でも、女の子ぽさは少しはあって欲しいよねっていう。


声優さんが決まってから書き直すというか、もっとキャラができてくるんですよ。
その声で考えながら台本を書いている。



番組閲覧者からの質問と回答

Horizon Zero Dawnのロケハンとか、どこかでしたんですか?

浦野:

えーと開発がですか? してたらしいですよ。いろいろと。
詳しいことまでは…。ただ、いろいろな所を飛んで行ったと言われてる。

オランダだとアムステルダムの都心から30~40分ぐらい離れた場所には、
割りと広々とした草原があるので、そういう所からもインスピレーションはあるのかなと思います。


アーロイの髪型はいじれるのか?

浦野:

衣服によってはアクセサリーで髪飾りがいろいろと付いてくるので、
ちょっと変わったりはします。


ホライゾン以外で、想い出深いローカライズ作品はなんですか?

谷口:

どういう意味でですかね? 苦しかった、幸せだった?
想い出深いのはどれって選べないですけど、
自分を育ててくれたというのがあったので、やっぱHEAVY RAINです。
あとこの前出たEverybody's Gone to the Rapture。あれは自分でも満足いった。


長井:

HEAVY RAINの頃からの付き合いというか、もう10年ぐらいなりますもんね。


他社のローカライズで「これ凄かった!」というのがありますか?

長井:

よくローカライズの方って、一緒に出たりするじゃないですか。
メディアさんの紙面の中で。


結:

ローカライズする人によって、そういう特徴みたいなのって、
どういうところで出るんだろうなって。こいつのローカライズ面白いなみたいな。


谷口:

私あんまり海外のゲームやらないですよw


結:

浦野さんは?


浦野:

僕はHorizon Zero Dawnを始めた時は2015年。
さらに前のシャドーフォール、これゲーム自体はマスターしたのは2014年末ぐらいなのかな。


なんですけど、それからオープンワールド・アクションRPGということで、
先ほどコメントにありましたウィッチャーなど、そういうゲームとかで自分のプレイとか
スタイルを研究してて、そういう意味ではホライゾンのためにと言うか、
そのためにそういうゲームを研究するということはありましたね。


どういうキッカケでローカライズの仕事をしたのか?

谷口:

私すごくラッキーだったというか、大学卒業して「就職したくねー」と言って、
大学では英語は学んだが、英語課とかではなかった。
それで就職したくなくて海外の美大へ行って、映画のビジュアルエフェクトをやってた。


海外から戻って来て、どうしようかなと思ってフリーランスで翻訳とかやってたんですよ。
その時たまたま誘ってくれたプロデューサーに出会って「君やるぅ?」と言われたから、
「じゃあ、やります」と言ってやってみたら、すごい合う仕事だった。


でも翻訳をフリーランスでやってた時はゲーム好きだから、
ゲーム翻訳系をやりたいなとは思いながらやってた。


結:

そもそもフリーランスで翻訳の仕事ってできるものなんですか?
ビックリしました。私も同じフリーランスなんで。


谷口:

結構いますよ。素晴らしい方もたくさんいるんで。
Horizon Zero Dawnでもね、結構お世話になったりしてるんで。


結:

そうなんですか。
もともと海外の大学で映画のエフェクトって、それこそCGなんですか?


谷口:

そうです。私がやってたのはワイヤーフレームを除去したりする、
背景の合成とかの結構地味な、そいういう系でCGを作ったりじゃないんで(笑)


長井:

確かに以外な過去だったね。


ホライゾンをやって、キツかった期間は結局何ヶ月だったか?

谷口:

一番キツかったのは一ヶ月半ぐらい。
圭くんは一ヶ月ぐらいだったと。


最後に一言

結:

体験版は今回無いようなので、みなさん3月2日を心待ちにしてくださいね。


長井:

そろそろお時間ということで、最後にユーザーの皆さんに
アピールということでお願いできますでしょうか。


浦野:

Horizon Zero Dawnは3月2日にリリースします。
まあ、その時期他にやりたいゲーム無いと思うし、皆さん買ってくれればと思います。
ほんとに楽しいので遊んでください!


結:

12月、1月はかなりラッシュでしたけども、2月もニーアとかいっぱいありますけどもねw


長井:

まあ、これだよね。ウチらほんと一押しですよ。
最後はよく分かんなくなっちゃったけど(笑)


谷口:

そういうところは圭くんが言ってくれたんで、アーロイがあまり可愛くないとか
言われたりしてるんですけども、まあ外国の人が好きそうな顔じゃないですか。
日本のという顔じゃないんですけど、私も最初は何でこんなにブッサイクなのかな
やってたんですけど、これがやってたらすっごく可愛く見えてきて「可愛いじゃん」となったんです。


長井:

それだけ感じられるくらい感情移入ができる物語があって、
それを自分で解いていけるという楽しみがあるゲームということなんですよね。


谷口:

そうですね。衣服もすごく可愛いんで。



ゲームローカライズの感想

オラッ!出てこいよ!のアスキーアート

ゲームのローカライズというと、ゲーム開発というよりは輸入代理店みたいなところがあるから、
たまにゲーム雑誌とかで小さく触れられる程度だし、あまり表には出てこないご職業ですが、
一言でいえば「縁の下の力持ち」と言った感じですね。
あまり実態が見えてこないので、こういった話は前々から聞いてみたいとは思ってました。


ローカライズ・スペシャリストとは一体何やってんだろ?と疑問には思ってましたが、
要するにメインで台本を書く人ということか!

インファマスセカンドサンでは、かたみんとか岩瀬氏はアソシエイトプロデューサーとか言ってたから、
あれはまだ見習いと言った感じなのかな~


ローカライズの仕事では予想してた通り、「これやっぱ重要だよね!」と思ったのが人間関係の構築
いきなり海外へ行って「気に入ったのでウチと契約しませんか?」と言っても、
おそらく相手にされないんじゃないのか?と想像してます。
よって売れそうなメーカーはマークして、長い時間をかけた付き合いが必要になってくるのだと思う。



自分は割りと英語版と日本語版をプレイする方だとは思うが、
翻訳の仕方はローカライズチームによって全くバラバラですね。


例えば日本では「○○を倒せ!」といった内容だと、
ローカライズされたものは「○○をノックダウンしろ!」や「○○からテイクダウンをとれ!」など、
カタカナで直訳するローカライズのところもあるし、結構バラ付きがありますね。
中には「あれ?そんなこと言ってったけ?」と、日本風にアレンジを加えられたりもします。


良いローカライズとは何だろう?と考えると、自然な日本語だったり、日本で言えば何に値するものか、
その土地や風土によりネイティブ的なものも含めて、
「あー、このキャラクターはこんな風に言いそうだよね」とマッチしていることかな。



ローカライズの仕事で一番分からないのは、洋ゲーは日本ではまだまだ売れない傾向にあるが、
大して売れなかったとしても、直接ゲームを開発している訳でもないので、
赤字にはならないのか?という疑問があります。
おそらく売れた分に大して、何%の利益が得られるという契約だと思うんだよね。


ただ今回の話を聞くと、ボリュームが増えている割には、
短い期間のスケジュールを組まされるとなると、まあアレなのかな…と。

日本語吹き替えもだいぶ増えたことで、キャラクターに感情移入しやすくなったとは思うが、
ローカライズチームからしてみれば仕事量が増えて大変な時代なんだろうな…


GTA5のようなドル箱を引き当てれば長い目で安泰しそうだが…、
とはいっても、ここ近年の日本でも洋ゲーは少しづつ売れてはきてるか。

最後の浦野さんが、「発売近くに面白いゲームねえーからホライゾン買ってくれ!」ってのは、
ある意味、斬新なセールストークだと思ったわw くいしん坊! BANZAI!



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