天野喜孝、天野弓彦 - ファンタジーアート展
http://artvivant-fantasyart.net/

ここ最近は天野喜孝氏とその息子の天野弓彦氏による、ファンタジーアート展が開催されていたので観に行った。天野喜孝さんとは去年に天野喜孝展で会ったばかりなので記憶に新しいが、天野弓彦さんの絵はほとんど観たことがないので「どんな感じだろ?」と想いながら観てきた。

アールビバンが主催している展示イベントで入場無料だったのに驚いたが、天野喜孝氏の絵をよく観察してみたが違和感を覚えた。「んー、原画とは何かが違うな。本物はもう少し色がくすんでいるはずだったような・・・」と記憶を辿りながら注意深く観てたら、係員の人が展示されているのは「絵ではなく版画なんだ」と言われた。
 


▲会場でFF10『WATER WARRIOR』ポスター、FF6『アーマーDX』のクリアファイルを頂いた
 

「あ、なるほど! どうりで色が鮮やかで綺麗な訳だ。」と納得したが、版画の価格でも大体55万~90万円くらいが相場でした。サイズが大きいやつで一番高くて290万くらいだったかな。

つーか、「なんでそんなに高いの?」と聞いたら、版画は100枚限定とか刷る枚数が少ないからなのだと言う。世界規模で数百枚しか無いからと言われれば、そのくらいの値が付くのか。最近は天野喜孝氏も忙しくて時間が無いらしく絵はあまり描かないそうで、オーダーとして注文した分しか描かなくなったとか。そのため値段も釣り上がるのかしれない。
 

ファイナルファンタジーシリーズの根強い人気を感じる

FF10『WATER WARRIOR』

とはいえ、すでに購入者が数人ほどいる状況で、ファイナルファンタジーシリーズとか人気のある絵では、1枚の版画に対して1~4人くらい購入者がいる感じだった。一体どの年代層が購入してるのか聞いてみたら、20~30代の方が多く購入するらしい。

「今の20~30代って、そんなに金持ってんの?」とキツネにつままれたような感じもしたが、一生の宝物として購入する人が何名かいるのだとか。むしろ「購入できるんだ!」といって落札した方もいるそうで、なんかファイナルファンタジーシリーズの根強い人気みたいなのを感じた。
 

車並の値段がするので高いですね・・・。もちろん支払いは分割払いのようです。独身者が購入する傾向が高いようで、「結婚してからでは買えないから」ということで購入に踏み切るらしいッス。価格が高くても買う人は買うんだな~
 
背景が輪島塗の漆とコラボした特注品などもあり、「これいくらすんの? 百万以上するだろ」と聞いたら、売るとしたら300万くらいはするらしいが、縁起のいい数字の88万(末広がり)で販売しているそうです。漆と版画のコラボのやつで、こちらは注文を受けて作る流れだとか。金箔の部分は天野喜孝氏が自ら補修している所もあるとか言ってた。
 

父と息子の絵の違いについて

FF6のティナと魔導アーマー

息子の天野弓彦氏の絵はあまり飾らていなかったが、戦国武将や百鬼夜行の原画を観ることができた。私はいつもコピーされた何かではなく、本物に触れて感じることを大事にしてるので原画を直に見れて感激!近くでよく観察した印象だと、親父の天野喜孝氏と比較すると全体的に線が太く、版画のような漫画のような線のタッチだった。作品は本人のウェブサイトで拝見できる。

 

織田信長、豊臣秀吉、明智光秀など人間らしさはなくデビルマンのような感じで、作品は縦長で130cmくらいあるのかな。なんか武将の内面を描いた作品という印象がする。秀吉の象徴するヒョウタンを心臓部分に描いたり、派手好きな様はヒョウ柄にして現代風に表現した感じだろうか。武田信玄や上杉謙信に至っては人ではなく鳥を描いてたw

モノクロ作品の百鬼夜行は、天野喜孝氏が描くFFシリーズの百鬼夜行ではなく、天野弓彦氏の作品はゲゲゲの鬼太郎寄りの妖怪たちを復数重ねて描いた絵だった。女性の顔は天野喜孝氏が描くような感じの瞳とアゴラインだ。親父のDNAを受け継ぎつつ、自分流にアレンジしたような印象を受けた。親父と同様にアニメ会社の仕事に就いて、2000年から画家を始めたので、やはりアニメらしさがほのかに漂うところもあるかな~

全体的に親父は細い線で優雅に描き、息子は太い線で力強く描くファンタジー絵だったという印象を受けた。今回は展示会で親子共演を果たすことになったそうだが、まあこれも一興かと。親父が偉大な方だと息子は二世扱いにされるのでなかなか難しい立場だが、自分の絵を開拓して画家として評価されるのは時間がかかりそうだなと、しみじみと想いながら展示会場を出た。