ゲーム攻略マンのホライゾン ゼロ ドーンの攻略日記

SIEローカライズのHorizon Zero Dawnのインタビュー内容

電撃PlayStation Vol.633

電撃PlayStation Vol.633号では、Horizon Zero Dawnのローカライズを務めた
SIEのインタビューを行ってました。茨原氏、浦野氏、石立氏の本作をよく知る3名です。
仕事を忘れてハマったそうでHorizon Zero Dawn関連の話をしてました。
以下はそれについてのまとめです。


■ローカライズチーム
  • 茨原ダビデ(アソシエイト・ローカライズプロデューサー)
  • 浦野圭(ローカライズプロデューサー)
  • 石立大介(ローカライズプロデューサー)

ホライゾンゼロドーンの魅力はどこに感じたか?

石立:

僕たちはローカライズ作業の都合上何度も繰り返しテストプレイをするが、
僕は第三者的な視点というか、初めて遊ぶユーザーさんと同じ目線に限りなく
近くなるように、最初からしっかりプレイするようにしている。


そうやってプレイしたときに、「これ、スッゲー面白いな」と思ったんですよ。
初めて遊んだときにダイレクトに面白さが伝わるんです。

アクションRPGって、いくらアクションとついても、どちらかというとRPG要素に
重きを置かれているものが多くて、アクション単体で楽しめるものは少ない印象なんです。


それでも戦闘は経験値やアイテムを集めるためにやるもので、戦闘自体を楽しむものではなかった。
でもホライゾンゼロドーンは戦闘自体がめちゃくちゃ面白いんです。

最初はアーロイの少女時代のチュートリアルから始まり、大人になると行ける範囲が広がるんですが、
最初の住居地周辺で何十時間も遊んでしまうほど、戦闘そのものが面白い。


RPGで強くなるときは、レベルが上がって能力値が強くなるとか、強い武器が手に入るとか、
あるいは新しい技能を覚えるとかで強くなった実感を得るとは思うんですけど、
ホライゾンゼロドーンでは自分の腕前が上がったり、敵の行動パターンがなんとなく分かってくると
強くなったと感じた
んです。プレイヤーが成長したことで強くなっていくという感じが新鮮で面白い。


アーロイとサンダージョーの画像

▲サンダージョー


ダビデ:

3時間前は全然かなわなかった敵とだんだん戦えるようになって、
やがて勝てるようになる
という流れがキレイなんですよね。
これまでのアクションRPGは、戦闘になるとワンパターンになりやすいと感じていたんです。
自分の好きな武器だけを使ったり、好きなスキルだけ強化したりとか。


でもホライゾンゼロドーンはそこがよく作られていて、自然といろんな武器を使ってみたくなったり、
別の倒し方を考えたりと試行錯誤したくなるんです。
ワンパターンでも進めないことはないんですが、プレイしているとそれが勿体なく感じてくる。



浦野:

実際はワンパターンで進むのは効果的じゃなくて、
基本的にはいろいろ試したほうがよくなる作りになっている。
トレーラーでアーロイがサンダージョーと戦っているんですが、パッと見ではボス戦のように見えますよね。
でもそうじゃないです。巨大な敵が1体ずつ出てくるわけではなく、他の機械も一緒に出てくる


もちろんただ難しいだけではなく、長くプレイしてればアーロイの操作に慣れて、
倒し方の幅が広がるようにデザインされています。
KILLZONEシリーズもそうなんですが、ゲリラゲームズは戦術や戦略を意識して作品を作るので、
そういった彼らのDNAが本作にも入ってると感じます。


石立:

戦闘スピードが速いんです。まさに息もつかぬという感じ。
東京ゲームショウ2016の試遊版では、タッチパッドを長押しするとコラプターという中ボスみたいな
機械が出てきたんですが、「あんなの簡単に倒せたよ」という方もいらっしゃいました。


でも本編ではコラプター単体で出てくるだけでなく、周りに別の機械や人間がいたりして、
全然戦闘の感じ方が違うんです。
歴史上、人間がいかに数の力で自然に打ち勝ってきたかが分かりますよ。


ホライゾンゼロドーンのコラプター

▲コラプター


浦野:

敵によって相性のいい武器があるので、いかに早く戦略を変えながらプレイできるかが非常に
重要なゲームだと思います。群がる敵を全部倒しきったときの達成感は凄いですよ。



多彩な武器をリアルタイムで切り換えながら戦うのは大変ではないのか?

石立:

慣れてくると思いますよ。確かに本作では状況に応じて武器を切り換えたり、
トラップキャスターで罠を張ったりというスタイルがゲーム側で推奨されているので、
乗り越えなきゃいけないハードルとしてあるんですが、逆に近年のAAAタイトルではあまり見かけない
ハードルを乗り越えた達成感を与えてくれるところが面白いと思ったんです。


アニメーションも凄いし、大物は大物感がちゃんとあるんですよ。
倒したときの爽快感が、それまでの苦労に見合う報酬として成り立っているというか。
例えばロープキャスターで拘束して、不足したアイテムも補充してと苦労しながら倒したときの、
えも言われぬ達成感というのはボタン一つで簡単に戦えるタイプの戦闘とはやっぱり違うかなと思う。


浦野:

弓で素早く動く機械を狙うのは難しいと思う方もいるでしょうが、
スローモーションにするスキルや難易度変更も可能なのでご安心ください。
難易度を簡単にするとエイムアシストが強くなるので、ヘッドショットなども決まりやすくなるし、
弱点も狙いやすくなります。ちなみに本作はスタミナは無いので走り放題です。


アーロイのハンティング風景
石立:

敵と戦うときも、何回でもローリングできるしダッシュもできる。
でもアーロイより足の速い敵も多いんですよ。


浦野:

開発側もその辺りはこだわっていて、アーロイよりも少しだけ敵の足が速いように調節していますね。
もう一つ開発がこだわっていた点として、ロックオン機能が無いことがあります。
最初は入れていたみたいなんですが、逆に周囲の敵に対処しにくくなってしまったと。
素早く戦略を変えたり、攻撃する敵を変えたりできるように、ロックオン機能はなくしたとのことです。


ダビデ:

ホライゾンゼロドーンでは1体の機械でも複数のターゲットできる部位がありますから。
ロックオン機能があると、カーソルがあっちにいったり、こっちにいったりして、
狙った場所をロックオンするのに時間がかかるんです。
自分で狙いを付けられるようにしたことで、どこに矢を当てるか考えられるようになった。


石立:

どこを狙うかで戦略性が生まれるんです。
部位破壊がちゃんとアクション要素として盛り込まれています。
あとは敵が動物っぽい姿の機械っていうのが、やっぱり本作ならではですよね。


ダビデ:

戦略性は高いですが、プレイしていて選択肢がありすぎると感じたことは一度もありません。
次はこれを試そうかなと、常に思えるような丁度いい具合なんです。


浦野:

武器や戦略の変更のしやすさも、FPS慣れしているゲリラゲームズの持ち味ですよね。
その辺りも含めて全体的なバランスはかなりいいと思います。



RPGとしての魅力はどこに感じたのか?

石立:

序盤に行動できるエリアは、アーロイの部族が警備して強い機械を寄せ付けないようにしているエリアです。
だから弱い敵しかいない。でもそのエリアを離れると、いきなりヤバイ敵と出くわすこともあって、
世界観とシステムの関連付けがしっかりしている。


サイドクエストもストーリーに関連あるものになっていたり、
オープンワールドゲームなんだけど、ストーリーゲームをやっている感覚。
サイドクエストに夢中になってメインストーリーを放置しがちなんですけど、
ホライゾンゼロドーンは話の流れでうまくメインに戻してくれるんですよね。


浦野:

サイドクエストって、どうしても報酬目当てで受けがちじゃないですか。
でも、ちゃんと話が気になるように作られている
また、ゲリラゲームズのチーム内の多くが日本のアニメやゲームが好きな人が多いからなのか、
日本人にも馴染みやすいデザインをしていますね。


繰り返しテストプレイをしていることもあって、発売後に自分の担当した作品を長くプレイすることは
それほどないんですが、本作は発売後も1ユーザーとして遊ぶのを非常に楽しみにしている。
それくらい完成度が高い!


ダビデ:

声優さんの素晴らしい演技もあいまって没入感が凄いんですよ。
みなさんにも是非アーロイと一緒に旅しながら、この世界と感動を体験してほしいですね。



和訳担当者に訊く:大島陸氏のインタビュー内容

Horizon Zero Dawnの部族

他にはメイン担当の谷口新菜氏と共にローカライズした大島陸氏にも、
メールでインタビューしたそうです。


日本語へのローカライズの際に悩んだ表現、こだわった言葉はある?

和訳するときにいつも念頭に置いていたのは、どのような文化の中で、
その言葉が使用されているかでした。


本作の舞台の1000年後の地球には、様々な部族が暮らしており、それぞれの独特の文化を持っている。
信仰心が厚く、1000年前に滅んだ過去の文明とは距離を置いている部族もあれば、
逆に機械の仕組みを生活に活用しようとしている部族もあります。


信心深い部族では、日常の言葉からなるべくカタカナ語を減らし、
土着の文化に合うような言葉を選びました。
一方で機械との関わりが深い部族であれば、カタカナ語を多く使用しても違和感なく、
それは文化の特徴にもなるので、あえて和訳しなかった場合もあります。


この違いは地名などにも見てとれると思います。
それぞれの文化の中で暮らす人々がどのような言葉を選択するか、
ということは常に気を付けてしましたね。


物語がリニアに進んでいくFPSと違い、オープンワールドになったことで、
どんなクエストをクリアしてきたか、どのキャラクターと出会ってきたかなど
プレイヤー毎に異なります。それぞれの進め方で矛盾点が生じず、
自然に物語が進められるような言葉を選ぶように注意しました。



ホライゾンゼロドーンのローカライズレビューの感想

Horizon Zero Dawnのハンティングの様子

メディア用のプレイ動画などを眺めてると、機械獣は1体だけでも結構ツエーというか、
HPが高いという印象を受けた。平たくいえば硬い敵かな。

ただ、それもトラップを使用しながら戦えば割と簡単に倒せるところがあり、
資源を収集してクラフトすることは結構重要だなと思ったところがある。


確かにオープンワールドゲームはワンパターンになると、途端に微妙なゲームになりますね。
サイドクエストなんかが凄く有りがちなパターンかな。

ロックオン機能を無くしたのは良い判断かもしれない。最近記憶に新しいのはFF15のアンゲルス戦かな。
あまりにも細かく部位が多すぎて、敵の弱点をロックオンするまでがすでに難しすぎるという…


戦闘はスニークキルが有利なゲームだと、ただただ敵に見つからずに静かに倒すだけのパターンになるし、
そうなるとユーザーは激しく交戦するバトルを求めるようになってくる。

ホライゾンゼロドーンでは部位破壊をしてパーツ収集が必要だし、
隠密行動はあまり重要ではないのかも? 絶妙なバランスに期待したいところだな。



ホライゾンゼロドーンの地名に関してはずいぶん前から観察してましたが、
カタカナ語とインディアンが使ってそうな地名でわけられているのは気づきました。
例えば『カージャ』や『メリディアン』もあれば、『母の頂』や『悪魔の渇き対岸』など。


後者は原住民というか、インディアンが使いそうな地名だなという印象を受けた。
映画『ラスト・オブ・モヒカン』とかを彷彿とさせるような言葉の使い方だなと。

前者の方は、ノラ族の村からは距離が遠い所にありそうな印象を受ける。
村の中でも大きく、都のように活気がありそうな印象すらも受けるかな。


言葉の違いを聞かれれば、確かに部族の誇りだったり、信仰心の違いなのかもしれない。
ノラ族が襲撃されたときに、神に祈ることを提案した者がいたが、
アーロイは「そんなことしても意味がねえ!」と、好戦的な部分が見て取れるトレーラーがあったし、
ノラ族は神への信仰心が深い部族なんだと思う。



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