名越稔洋氏と横山昌義氏が語る『龍が如く極』についてのインタビュー

龍が如く極の総合監督・名越稔洋 龍が如く極のプロデューサー・横山昌義

2015年9月17日~20日に、千葉県にある幕張メッセで東京ゲームショウ2015が開催されました。
セガブースでは龍が如く極と龍が如く6の新作発表会が行われた。
発表は4日間行われたが、質問と回答はほとんど内容が一緒でした。


以下は名越稔洋総合監督、横山昌義プロデューサーのインタビュー内容です。



『龍が如く極』というタイトルにはどんな想い込められているのか?

名越:

技術的には一番新しいテクノロジーと、我々の作ってきたノウハウが結集してますので、
クオリティー的には一番良いものですし、10年前できなかったタイアップもできるようになり、
当時できなかったことに全てリベンジをするような形として今回がんばってます。
一番良いという言葉を置き直すと『』って言う言葉が分かりやすいかなって。


横山:

他にもタイトル候補がいくつかあって、最終的にクオリティーを全部究極まで
持って行こうじゃないですけど、『』ってやっぱ分かりやすいよねと一文字で。


名越:

最初は僕は嫌だったんです。


横山:

初めは何だったのか言っていいんですか!? 『怒りのフルリメイク』。
3時間ぐらい打ち合わせしてて、名越さんが「怒りのフルリメイクとか」と言って笑っている分けですよ。
冗談ぽいんだけどそれで行こうとしたぐらい。


名越:

一回決まってロゴデザインまで作った。ちょっと疲れてたなと(笑)
何に怒ってるんですか?」と言われたときに「いろんなものだよ」と答えた。
今でも悪いタイトルじゃないかなと想いますけど…


あとはリメイクという単語がどうしても単純な作り直しに聞こえることもあって、
僕らはやっぱり追加シーンがいっぱい入っているという意味では、『』の方が良かろうと。



龍が如く極には追加ストーリーが入るのか?

名越:

ディレクターズカットと言えるんですけども、いわゆる映画のような5分・10分の足し方ではなくて、
もっと全体の何割といった尺でガッツリとした大幅な追加
をしてます。結構ボリュームあります。
もともとやりたかったシーンもあったんですけども、龍が如く1は難産で生まれたタイトルですので
時間・コスト的に足りなかった心残りを今回はバチッ!と全部入れている感じです。


横山:

一作目のときはそんな余裕はなかったんですよ。やっぱ、いろいろ。


名越:

龍が如く1はやはり中身は自信がありながらも今ここで、
もっとこうすべきだった、したかった、あの頃酷かったな、今だったらこんなことができるのに
と言える自分、もしくはチームというのは成長した証拠だと思いますんで、
そこの想いはちゃんとぶつければ、喜んでもらえるものになるのではないかなと思います。



キャスティングはどうなっているのか?

横山:

基本的には極クオリティーと僕らは言っているんですけど、
全部究極に持っていくのだとしたらどうしたら良いのかとか、演者さんのお声の演技も全部、
今思える最高の形にするのが筋だろうというか、ベストだろうと思った。


主役の黒田さんとか、錦山の中谷さんという声優がいるんですけど、
新規シナリオもありますし声全部撮り直そうと。
その方がクオリティーが上がるだろうし、今の彼らの解釈とクオリティーでもう一回やってもらいたいと。
ほぼ全編再収録してます。


龍が如く極の声優の新しいキャスティング
横山:

さらにキャスティング的に、今この人がこの役をやったら一番良くなるはずと思う新規キャストというか、
もともとある役なんですけど配役を新しい声優さんに一部頼んでたりしまして、お見せしてるのは一部です。


「それぞれどんな役をやっているんだ?」はオイオイ情報を出すとして、
今日はせっかく東京ゲームショウなんで特別に。杉田さんは桐生の舎弟のシンジの役、
田中さんは桐生と錦山がよく通っているスナックのママの麗奈をしている。



龍が如く極の制作意図は、そういった名越さんの想いから作られたんですか?

名越:

龍が如く1・2・3とヒットしてきて、ファンの方がずっとついてきてくださって、
でも新作を作ることに追われますから、最初申しあげた「できることであればやり直したいな
という気持ちを置き去りにせざるを得なかった。


「どこかでそれをやれれば…、やれれば…」で10年が経ってしまって、
それをやれるとしたら今回の龍が如く10周年というのが一番良いタイミング、
説得力のあるタイミングじゃないかなと思ってやらせていただきました。



名越さんの想いも、ファンの方達の想いも一緒という形ですよね

名越:

PS4というか、最新の技術でもう一回やらないんですか?」というのは、
いろんな形で海外の方も含めてたくさん言われたので、
声があるというのは十分届いてましたので実現できて嬉しいです。



映画でもそうですが、監督は第1作目が一番想いが強いと言われますよね

名越:

僕もいっぱい作ってきて、「龍が如くシリーズでどれが一番好きですか?」と聞かれるんですけど、
やっぱり迷うこと無く龍が如く1。というか初代作なので、
作っているという側のいろんな想い出みたいなものも入っての話かもしれません。
純粋に作品単体としてもエネルギーとしては、良い商品というか良い作品だったなと思いますけどね。



好評なミニゲームは、龍が如く極ではどうなってるんでしょうか?

名越:

龍が如く1の頃は数える程度しかなかったんですけど、
だんだんシリーズを重ねて店舗が増えて、今作もたくさん店舗が入っております。


これも先ほど言ったゲームシステムの中で評判が良かったものを入れるという意味であれば、
ただ足すだけではなくて、今回は安定的に評価が高くて、さらに人気のあった順を放り込むようにしてる。
まんまであると面白みがないものですから、それぞれある程度の幅はある。


横山:

最新の龍が如くの街並みにあるプレイスポットとは、龍が如く極の舞台は2005年なんですけど、
2005年の神室町にあっておかしくない遊びは一応全部詰め込んだつもりです。
もっと言えば2005年当時、流行ってた弊社(セガ)を代表するムシキングがあったんですね。
それをアレンジした面白い新規ゲームなんかも入ってますんで。


龍が如く極のメスキング
名越:

目の良い方は記憶できると思いますけど、弊社のムシキングという子供向けのゲームなんですけど、
あれはメスキングというパロディーゲームです。
メスなのにキングってのは、よくよく考えてみるとおかしいですけど(笑)


「あ、おかしい」という意見も出たんですけど、語呂の良さに勝てなくて
これで良いんじゃねーか、これが龍が如く的じゃねーか」な感じで…。
その辺りを気付かずに出したとすると、アイツら相当頭悪いなと言われそうですけど、
一応分かったうえで出している。


横山:

しかもカブトムシ角生えてるって、オスだから意味分からないですよね(笑)


名越:

結構あとで気がついたんですけど、まあいいやって(笑)
リニューアルをかけた部分をちゃんと放り込みながら、
メスキングみたいな、ああいった変わったミニゲームも入っている。
「あれが無いよ、これが無いよ」みたいなことはないようになっているとは思いますんで。


横山:

1個1個新しい要素を入れつつ、それ以外にも新規プレイスポットもいくつか用意してるので、
シリアスなものから、くだらないものまで。くだらないというか龍が如くぽい遊び心満載のものを
たくさん用意してますんで、思う存分夜の街を楽しんでください。



龍が如く極の魅力が、どんなところか教えてください

龍が如く極のグラフィックの進化

名越:

もちろん最新技術ですからグラフィックも良くなってますし、
ロードの快適さであったり、遊びやすさといった意味での進化というのはあるんですけども、
でもやはりゲームとして我々が10年前に提供したものと比べて、
根本的な部分でノウハウの集大成を持ちながら、越えていかなきゃならないなというのは一番の目標にしてる。



今回そういったものはゲームの中で、どのような形で表現されているのでしょうか?

名越:

例えば技術は一番良いものだとして、ゲームシステムはいろいろと変えてきたんですよ。
「今回はこうしてみよう、あーしてみよう」など。
バトルシステムにしても一番遊びやすかったシステムってなんだろうってのもあるんですけど、
結構マイナーチェンジは積み重ねてきているんですよね。で思い切って変えてきたところもあるんですけど。


その度にユーザーの皆さんから、
これは良かった。これは良かったけど面倒くさかった。これは簡単だけど物足りなかった」という
お声の蓄積データベースを我々は持ちながら、
ベースの技術は一番良いもの、遊び方としては一番評判の良かったものという風に盛り込んである。


僕らが集大成という形で言うとすれば、評判の良さと技術の良さを両方足していくというか、
混ぜ込んでいくというか、そういった作りを今回はしてます。
システムは龍が如く0ベース。あれが一番評判が良かったと思っているので。



まさに評判的にも、技術的にも一番『極』なものをもってきたということですよね

名越:

ですね。かつてのファンもそうですけど、ここから初められる方というものをすごく意識している。
毎回初めての方にプレイしてもらいたいと思ってはいるんですけど、
今回は特に「ここから入る方が多いんじゃないか?」という狙いはすごく持ってます。



龍が如くというと熱い人間ドラマに注目されるが、今回はどこに注目していいのでしょうか?

名越:

先ほども言いましたけども追加のシナリオです。
ファンの人達は「龍が如くが面白かったし、どんな話かも知ってるよね」とたくさんいらっしゃるので、
時間の都合上、本来入れたかったけど泣く泣く入れることができなかったものが一つ


もう1個が本来入れたかったんじゃなくて、あとあと考えたらここの心理描写を補完するために、
こういうエピソードをちゃんと盛り込んでおいた方が、もっともっと説得力が上がるんじゃないのか
後付けで生まれたアイデアもあって、そういったものも遠慮なく今回はどんどん入れて
本当の意味で完成させようという狙いでやってます。


ただもちろん、もともとのドラマの見え方が変わってしまうと、
「こんなの龍が如くじゃないよ!」と言われてしまうのが本質ではないので、
おかしないじり倒し方はしないというか、入るべきものが入ってくれたというか、
そういう良い足し算が積み上げとしてできることを目標にしてます。


やり過ぎてしまうと整合性が取れなくなり、それはちょっと余計かなというのがあって、
僕らも大事な作品である以上、サジ加減を考えて作りました。
追加ストーリーを見るだけのために買う価値はあると思いますんで。



今作の龍が如く極は、かなりのボリュームだと伺ったんですけども

名越:

一番メインになるのは桐生とライバルの錦山が大きいので、
桐生が服役した10年間の中で「一体何があったのか?」というところは、
初作ではぶっちゃけボカしているんですよね。


なのであれをサラッとは行かず、ガチで丁寧に描いていって説得力を高いものにしている。
また真島というキャラクターと桐生との関係のエピソードみたいなキッカケなんかも、
もうちょっときちんと書いたほうがファンは喜んでくれるだろうなと思ったので、
消化不良だなと思ったところは全部書き直した。


ある意味で結局こういう話しなんだろうなと分かっていながらも、
たぶんめちゃめちゃ新鮮に遊べると思いますよ。



龍が如く極の発売日も決定してるんですよね

龍が如く極の発売日
名越:

龍が如く極は2016年1月21日発売です。
価格の方もちょっとだけサービスさせていただきます。


ただこれもほんと「安いってことはそれなりじゃないの?」と言われそうなんですけども、
一度出したことがあるということを含め、でも中身を完璧にするということも含め、
あとこれから初めていただくユーザーも是非増えて欲しいという願いも含め、
いろんなものを含めて6490円ていうのは、心義のあるサービス価格だと捉えていただけたらと思います。


あ、でもジレンマあったんですよ。
全然安く作ってる分けでもないですし、情熱が減ってる分けでもないですし、
むしろいろんなプレッシャーでやってる分、定価に迷った。


さらに龍が如く6の先行体験版のダウンロードコードを同梱させていただきます。
まずは龍が如く極をやっていただいて、同梱したものをダウンロードして
龍が如く6の世界の一部をミッションとして遊べるものを用意するつもりです。


チラッと言いました技術の進歩、龍が如く6への期待というものを高められる一つのキッカケが
また『』になると思ってますので宜しくお願いします。



横山:

今までの龍が如くシリーズとしては年明け早々の発売となりますが、
今回は正直言うとまったく手を抜いていないっていうか、逆に手かかってるんですけど、
10周年記念作品と銘打ってるんですよ。


龍が如くを支えてくれた皆様に対しての感謝の想いというのもありますし、
同時に龍が如く6言ってますけど、次の一歩へのお願いしますという意味も込めて
ちょっと価格を普段の設定よりはお安くしている。挑戦的な価格帯にしてます。




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