Death Strandingのプラチナトロフィー画像

2019年11月8日に発売したDeath Stranding(デスストランディング)のレビュー
来年にはPC版の発売も予定されているが、現時点ではPS4のみで発売されているデスストランディング。開発はコジマプロダクションで、販売はパートナー提携を結んでいるSIE。

ゲームエンジンはSIEの子会社『ゲリラゲームズ』が使用しているDECIMAエンジンで制作してます。以下はプラチナトロフィー獲得、およびゲーム難易度ハードのプレミアム配送で獲得できる、Legend Of Legends×500個獲得を攻略したうえでの感想です。

デスストランディングの良い評価

良い評価

  • 豪華キャストの出演。映画ちっくでリアルな表情・描写・演出。
  • 何かしら気になる、ミステリアスで個性的なキャラクター(キャスト)。
  • 作り込まれた自然環境がよくできている。リアルなフィールドのグラフィック。
  • ストーリーで度々流れるBGMが、良い具合に何かを感じさせる。
  • 中部マップの雪山のエリア、国道作りで苦労して作った感覚・達成感。
  • オンラインプレイで同期した建設物の共有、助け合いの『繋がり』が楽しい。
  • スーツとかバイクのメカ風デザイン、ハイテクな技術を感じさせる建造物。
  • サムはあまりベラベラと喋らないキャラだったのが逆に良かった。
  • オープンワールドゲームなのに、ほとんどバグらしいものがなかった。

リアルなグラフィックや豪華なキャストなど

エンディング前のチャプターシーン

デスストランディングをプレイして10分後に感じた印象は、自然描画の美しさだった。「フィールドがリアルなオープンワールドゲームって、最近は当たり前に感じるほど多いだろう?」と思うかもしれないが、画素数の高いテクスチャーを使用しているというか、細かいコケの表現だったり、足跡が残るような泥地だとか、フォグ表現、ライティングが結構リアルです。

「PS4でフォトリアルを突き詰めた結果がコレ!」といったような出来栄えで、サムが休憩時に口から吐く白い息だったり、小さい塵のようなものが動いてたりと、そんな見えるか・見えないかの空気感までも描いていたのには驚いた。

ボスのBT戦とのバトル画像

キャストは主人公のノーマン・リーダスを始め、俳優のみならず、映画監督までもが登場する始末で、小島秀夫監督にゆかりのあった人々が登場しているゲームです。パフォーマンスキャプチャーで撮っているので、モデリングやモーションはリアルに描写。「開発費はいくらかかったんだろう?」と考えてしまうほど、よく交渉に成功したもんだなと関心するところもある。

あとバイクのデザインだとか、国道の国道復旧装置とか良いセンスしてるな~と思った。国道復旧装置はスターウォーズにでも登場しそうなドロイドで、シュッ!と登場してサムをキョロキョロと探す動作、素材を投入したときの喜びを表現する動作と短い効果音。こういった小さいシーンに詰め込んだ作りというのは難しいもんだが、観ていて面白さが感じとれる表現力だ。

苦労の連続の末、感じ取れる道具の便利さ、他プレイヤーとの助け合いを感じれる

時雨シェルターと風景

デスストランディングは一言で語ると『苦行ゲー』だと思った。まぁ、それは良い評価ではないが、「不便だな」と思いながらも繰り返し行う作業の中、苦労を緩和してくれる車両やジップライン、新しい建設物を入手したことで、少しでも楽に・良くしようとするアイデアが浮かび、それが実現できたときは、なぜか楽しく感じられるところがあります。

なんというかパズルゲームに近いところがあるのかなぁ。形が見えない・出来ないときはイライラするが、ある程度形になってくると、それがジワジワと楽しく感じる何かがある。そんな意味では、気の長いクリエイター向けのゲームなのかもしれない。短気な人は、途中で断念するだろうと思えるストーリーペースだったし、序盤で辞める人の意見も分かる。

サムとイゴールが会うカットシーン

デスストランディングとは、ストーリー全体をプレイしてようやく評価できるゲームですね。序盤から指名なし依頼をグダグダできて、必要な素材数が多い国道作りはマンネリ化するし、そこで心が折れたユーザーが投げ槍になるのも分かるし、そこを乗り越えたユーザーは、先にあった楽しみ方を覚えたはずであろう。つまり万人向けのゲームではないことだけは確かだ。

苦労がある中で、ストランド(繋がり)をテーマにしたゲームだが、自分が必要だと感じた建設物がすでにフィールドにあったときは、助けられた気分がします。「お前のために作ってやったんだぞ!」という感じではなく、自分が必要だったから建てた建設物が、結果的にはいろんな人に感謝されたという感じなんです。

すごく一方的で見返りを求めない感謝だが、そういった謎の繋がりをゲームで体験できるのが、最もデスストランディングの特徴に挙げられます。逆にオフラインだと、そういった謎の繋がりを感じ取れないので、つまらないゲームだと感じると思う。非同期に特化したゲームってのは、MMOやMOとは違った楽しさがあると感じた。

中部マップの雪山エリア

マップの広さは、東部(中サイズ)、中部(大サイズ)、西部(極小サイズ)が用意されてます。個人的には中部エリアの雪山の苦労が楽しかった。映画『クリフハンガー』で観るような厳しい山岳地帯、過酷な生活環境で生き抜く冒険的な印象があり、どう進んだら目的地へ行けるのか? どうジップラインを建てれば楽になれるかの模索。もっと欲を言えば、本格的なロッククライミングができても良かった気がする。厳しさの中に、楽しさがあった。

デスストランディングの悪い評価

悪い評価

  • いちいちカットシーンが多すぎる。もっと簡単にSKIPできるようにすべきだ。
  • 全体的にバトルがぬるい。配達依頼もぬるい。戦略性とかは特に必要なし。
  • 専門的な用語も多く、ストーリー終盤は意味がよく分からなかった。
  • 指名なし依頼、メール、ドキュメント、Tipsの多さに疲れた…
  • せっかくのオープンワールドゲームだし、もっと遊びの要素を増やせたはず。
  • 使いずらいUI、見にくいマップ、フォントは小さすぎて文字が読めない…
  • フィールドには小岩がたくさんあり、車両で進むと引っかかりストレスになる。
  • 壊滅・脅威・危機的な何かが足りないゲームだと思った。
  • 全体的に単純で繰り返しプレイになるゲーム性。バランス設計。

面倒くさい要素がゲームの粗さを感じ取れてしまった…

サムとヒッグスのバトルシーン

デスストランディングをプレイしてると、いろいろと面倒くさい要素を感じてしまったことがある。まずは小さいカットシーンが多いこと。例えばプライベートルームでシャワーを浴びようと思えば、OPTIONS → 方向キーの右 → SKIPを4回分選択しないといけない…。そんな映像は2回も観てしまえば飽きると思うし、SKIP操作が面倒くさい。×ボタン一発でSKIPすべきだろうに。

依頼においては、メインストーリーではA地点からB地点へ荷物を運ぶだけのミッション。そしてサブミッションの指名なし依頼においても、A地点からB地点へ荷物を運ぶだけのミッションです。つまり、何も代わり映えしないようなゲーム性なんです。しかも指名なし依頼は500個用意されているので、疲れるし、萎えたというのが正直の感想でしたw

フィールドはスカスカ気味なところがあります。せいぜいメモリーチップを発見する程度しか用意されてなかったし、もっと遊びの要素を増やすべきだと思う。もっとダイナミックな遊びだとか、空を飛べるだとか、せっかくハイテクな時代ではあるものの、やることの少なさが退屈さを感じさせる。例えば小岩が邪魔なのであれば、それを除去できるマシンがあっても良かったのでは?と思ったりもした。

ブリッジズのメンバーと会話するシーン

あとフォントが小さいので、テレビ画面が大きくても見ずらいです。これに関してはアップデートでフォントサイズを変更できるように改善されました。あとイラない車両の削除機能なども追加されたりもした。

全体的に考えると、ゲームのテンポを悪くしている要素は、たくさんある指名なし依頼の攻略、そしていちいち送られてくるメールやドキュメントTipsの多さによるもの。送られてくるたびに中身を確認して、ゲームの進行がストップして、建設物の修理メンテを行ってと、ゲームが進まないほど膨大にある。ゲームボリュームの少なさを、作業でごまかしたような気もするかな。

総合評価

エンディングのスタッフロールシーン

デスストランディングはコジマプロダクションを立ち上げて、ゲームが完成して約3年9ヶ月とか言ってたので、かなり速いペースで完成できたゲームです。しかも少数精鋭の80人ぐらいのスタッフで制作したゲームだとかで、それでこのクオリティーとはとても信じがたい…。むしろ「日本のゲーム開発企業は何やってんの?」と感じてしまいますねw

全体的に作業感の強いゲームになってしまったことが大変残念に思う。ゲームの要素をもう少し詰め込んで、ブラッシュアップしたら良ゲーになったのは間違いない。サジの盛り方がうまくいかなかったゲームで、指名なし依頼はせいぜい100~200個程度で十分だったと思うし、国道作りの大変さときたら嫌になってくる。もう少し素材数を緩和しても良かったはずだ。

結果的にはあまり世間からは良い評価は得られなかった感じだったが、小島監督からしてみれば、会社の立ち上げの苦労、ゲームエンジン選びと度重なる海外出張、親が亡くなった悲しみ、納期まで間に合わせたゲーム制作、かなり目まぐるしく、濃密な日々を送ったと予測できるので、たぶん全部やりきった思いで胸がいっぱいだったかと思う。

そう考えると、どうのこうのと言葉に詰まらせるところがあるが、今回は会社とゲームを作り上げたことも評価すべき事柄なのかもしれない。もとからあった会社でゲームを作った訳じゃないので、他のAAAタイトルと比較するのは、何か間違っている気がするし、ただただ「クソゲーだった」とだけ言い放ち、報われない世の中も「フェアじゃない」と感じたゲーム体験だった。

見せ方や売り方が良くなかったのも事実だが、 いろんなレビューサイトを見ると、期待値通りにならなかったからなのか、人の冷たさや虚しさが少し感じられたかな・・・。コジプロはそれにめげずに、次回作も強きに出してくれれば思うばかりだ。