デスストランディングについてのインタビューまとめ
E3 2016にてDEATH STRANDINGの発表後に、小島秀夫監督がメディアに向けて
デスストランディングについて回答したインタビューをまとめてみました。
E3のステージに立ってどうだったか?
小島:
去年は参加できなかったので2年ぶりのE3になります。
アトランタで開催していた1997年から来ているし、僕にとって重要なショウです。
2年ぶりですが10年ぶりぐらいの感覚でした。
ターミネーターのように「I'll be back」とは言えなかったが、
「I'm back」と事後報告になりましたが、非常に温かい拍手をいただいて
「ああ、E3に帰って来たんだな」という感じがした。
今年で53歳になりますが、これからもゲームを創り続けたいと思ってます。
ただ、そろそろ定年になる年齢ですが、家族からは「まだやんのか」と賛成してもらえない(笑)
死ぬまでやりたいので、今回は2ヶ月半でティーザー映像を一生懸命制作して発表し、
皆さんの賛同を得られたので選択は間違ってなかったと思えた。
「おっさんでも頑張るぞ!」と決意を新たにしてます。
2ヵ月半で制作したティザー映像について
新しく会社を立ち上げるには、建物・人・技術が必要になる。
でも僕らは何もなかった。とはいえ、今ではテクノロジーは世界中にたくさんあるので、
自分たちが使用するゲームエンジンの候補を探すために、1月末から海外へ行ってました。
それと並行して会社の立ち上げと企画、人集めを行い、
3月末にはノーマン・リーダスと再会しました。
彼を口説いてキャプチャーを撮り、ティザー映像を作って、データを納品という制作を進めた。
タイトルデザインも全部自分たちで作りました。
僕らはインディーズですが、今は昔と違ってインディーズでもテクノロジーを使えます。
高価な編集機を買わなくてもPCで編集できる時代ですから。
世界中にはテクノロジー・ツール・サービスがあるので、インディーズでもその気になれば
世界向けのハイエンドゲームを作れるといったことを証明したかった。
制作人数はまだ言えないが、今はスタッフを集めている段階なので多くはない。
でもティザー映像を観て、たくさんの方が応募してくれると思う。
タイトルの『DEATH STRANDING』の意味とは?
イルカやクジラ、アシカなどが大量に座礁することを「Mass Stranding」と言い、
生きている状態が「Live Stranding」、死んでる状態が「Death Stranding」です。
他の動物だと「Stranding」とは言わないらしい。
前にニュースになったアザラシの『たまちゃん』なんかも、ある種の「Stranding」と言えます。
ティザー映像に赤子が登場しているが、「Live Stranding」とは少し違います。
タイトルについて説明すると、「ある世界から何かが座礁してくる。何回も来る。」と暗示している。
「I'll keep coming」という歌詞のとおり、何回も来るもの。
「Strand」とはビーチという意味があるが、心理学用語では「より糸」という意味がある。
『絆や鎖』といった意味を表しています。
グラフィックデザイナーのカイル・クーパー氏がタイトルロゴを制作してますが、
文字から垂れているのは血ではなく、繋がっているのです。
ティザー映像に映っているカニやクジラ、ノーマンと赤子がコードで繋がってましたよね。
世界観と物語、ゲーム性が全部繋がること、つまり「Stranding」がテーマなのです。
僕は安部公房の作品のファンで、『なわ』という短編小説があります。
その小説では、人類が最初に発明した道具は『棒』であり、
棒の特性は悪しきもの、自分と敵対するものを遠ざけるために発明した道具(武器)。
SF映画・小説『2001年宇宙の旅』でも猿が骨を持っているが、あれは武器としての棒です。
そして次に人類が発明したのが『縄』で、棒とは逆の発想。
自分が繋ぎ止めたいものを引き付けて縛りつける道具です。
今でも棒と縄という道具は、人類が使ってます。
全文掲載との要望が多いので、高校2年時に書いた読書感想文コンクール原稿を公開します。実はE3直前に安部公房の「なわ」を36年ぶりに読み直しました。今、36年前の若き自分の強引であまい考察を読んで、歳を重ねる事の意味を再認識してます。 pic.twitter.com/RrE2RY0FHt
— 小島秀夫 (@Kojima_Hideo) 2016年6月20日
考えてみると今のゲームって、オンラインやマルチプレイ、CO-OPであれ、
いろいろありますが、みんな使っているのは棒なんですよ。
銃やパンチとか、人を殴ったりすることでコミュニケーションが生まれている。
DEATH STRANDINGはその次に行こうとしてます。
なのでそういう意味では、当然『棒』も出てくる。
勘違いされると困るが、「マルチプレイで縄を使うのか?」と言うと、そういうことじゃない。
そんなゲーム誰もやりませんし(笑)
つまりゲームをプレイしながら、縄的な思考で繋がる話になります。
ストーリーや世界観、ユーザー同士、ユーチューバーなども含めて全てが繋がる。
その実験を今取り組んでいます。
なぜノーマン・リーダスを起用したのか?
どうしてノーマンを使ったのかと聞かれますが、ノーマンとは「P.T.」のときに親しくなり、
一緒にやっていたが、あんな結果に終わってしまい、彼も悲しんでいたし、
僕も辛いときがありました(※Silent Hillsの制作中止)。
ノーマンは相談に乗ってもらっていたんですが、彼と連絡を取り合い、
今年の2月頃にデスストランディングの話をしたら、「是非やりたい」と言ってくれた。
その後2月末に撮影。信頼関係があるからできました。
カイル・クーパー氏とは17年、マーク・サーニー氏とは15~16年、
ソニーとは20年以上の付き合いがある。
信頼関係があるので、そういう意味で開発も「Strand」してます。
デスストランディングのジャンルはアクションゲーム?
ジャンルは問うべきではないと思っている。
ノーマンを操作します。ボタンを押すとノーマンが飛んだりするのでアクションです。
ゲームのインタラクティビティを一番発揮できるので、そういう意味ではアクションと言える。
ハイエンドゲームがたくさんあるが、FPSやシューターなんかもアクションゲームですよね。
例えばゲームを車とすると、車はどれも同じような作りですよね。
ドアを開けて車に乗り、イスに座ってアクセルを踏んでハンドルを曲げる。
ブレーキを踏めば車が止まる。これらの動きは基本じゃないですか。
ターゲットはいろんな車に乗ってるので、わざわざ教える必要はない。
でも、変な車だったら乗らないですよね。例えば三角形のハンドルとか。
そういう意味で、デスストランディングは決して尖った車ではない。
「面白い車はないかな?」とユーザーが探してたら、ちょっと目を引くそんなゲームです。
どう目を引くゲームなのかはまだ言えませんけど、
車に乗り込み、エンジンをかけて発進するまでは他の車と同じです。
ただノーマンを動かしていくと、他のゲームとは見える風景が違う。
縄的な喜びが感じられる、他とは違うゲーム性を味わえる。
例えばメタルギアは、スネークを操作するアクションじゃないですか。
当時は銃を撃ちまくるアクションばかりでしたが、
メタルギアでは隠れて進むゲームを作ったら定番になり、
ステルスゲームというジャンルができた。
つまりノーマンを動かすことはこれまでのアクションゲームですが、
その先にあるものは未だ名前の無いジャンルになります。
ジャンル名称は皆さんが考えていただければと思う。
ジャンルを作るというより、新しいゲーム性を作ろうとしています。
DEATH STRANDINGのゲーム性は以前からチャレンジしたかったのか?
昨年の12月にコジマプロダクションを立ち上げて、当時は4人しかいなく、
6畳に満たない仮事務所で何をするか考えてたけど、
みんなが期待しているものはストーリーやゲームプレイが凄くて豪華なゲームで、
願わくば前のゲームを超えてくれみたいなもの。
そんな中で様々な候補の中からどれを作りたいのか考えていたが、
結果選んだのがDEATH STRANDINGでした。
どういったゲームを創るのかは、選択肢はたくさんあります。
簡単なゲームなら短期間で作れるかもしれないが、でもユーザーやSIEが期待するのは、
ボリュームもクオリティーも高水準を満たしたもの。
僕らインディーズでもここまで作れると証明できれば、
日本の若いクリエイターも頑張ると思うんです。
ですので、最初からハイエンドのゲームに挑みました。
コジマプロダクションについて
スタッフを増やしていく予定はあるが、ただ100人以上にはしたくないと思っている。
過去の経験上で200人とかになると、スタッフの顔と名前が一致しないときがあった。
なるべく少数で高クオリティーなものにしたい。
今集まってくれた人は、12月にWebで募集しました。
ほとんどが外国の方なんですが、たくさん来てくれた。
その時は何を作っているのかも言ってなかったけど、
「それでも来たい」「金もいらない」と言ってくれたんです。
ようやく発表できて、ちゃんとハイエンドゲームを作ってるなということが分かると、
家族の反対にあって来れなかった人も、「まともなスタジオ」だと思ってくれるんじゃないかと(笑)
これからも面接をしながら、少しずつ増やしていきたい。
最初は4人から始まったし、皆さんからは「ゼロからの立ち上げで大丈夫ですか?」と聞かれます。
でも今では自分達が1から作る必要はなく、世界中にテクノロジーがあり、
僕らには30年間ゲームを創り続けてきた経緯がある。
ハードや開発チーム、テクノロジーも違うが、その都度精査してゲームを作ってきたので
今回もまったく不安はない。でも同じことを繰り返しても面白くので、
チャレンジャブルなことを入れて、絶対に成功したいし、成功すると思っています。
若いクリエイターを育てようという大仰なことは考えていない。
僕は映画を観て育った世代、映画を通じて世界を知って、ストーリーや描かれる人物に感銘を受け、
「こんな素晴らしいものを作ったのはどんな人だろう」とクリエイターへの興味も湧いた。
そういう人に興味を持つと、物作りへの意欲も高まるじゃないですか。夢破れてゲーム業界ですが。
ゲームでも同じことで、「若いユーザーに楽しい」「面白い」と思ってもらえるのは最低条件。
そのもう一つ先に、「こういう仕事があるのか」「俺も挑戦したい」という繋がりがある。
今ではこういった繋がりが失われつつあるので、他の人がやらないなら僕がやろうと。
でも育てようとは思わない。「若者たち、かかって来い!」と思ってます。
現在のデスストランディングの開発状況は?
小島:
今はゲームエンジンの実験をしている最中。
エンジンにはそれぞれ特性があって、できることとできないことがある。
その中から候補を二つに絞った。一つは僕らが目指すビジュアルを表現するためのエンジン。
ティザー映像もこのエンジンで作ってます。
もう一つは新しいゲーム性を精査するためのもの。
新しいゲーム性ですから、実際に作ってみたら「つまらなかった…」という可能性もある。
そうならないように実験を行ってます。
まもなく結果が出るので、そこからが本格的な開発のスタートになる。
デス・ストランディングまとめ
コジマプロダクションのツイッターでは、小島監督のインタビューポイントを
いくつかツイートしてました。以下はそれについてまとめてみました。
本日の各メディアの小島監督インタビューよりポイントをお伝えします。①ティザーを公開したことの感想。E3は大好きなイベント。ここに来るのは2年振りですが、気分としては10年のブランクがあったような感慨があります。そのくらいの思いを抱えて帰ってきました。
— Kojima Productions (@KojiPro2015) 2016年6月16日
- ■デス・ストランディングまとめ
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クジラやイルカが大量に海岸に打ち上げられる現象をマス・ストランディング、
生きた状態はライブ・ストランディング、死んだ状態はデス・ストランディングという。
本作の場合は、ある世界から『あるもの』が座礁することを意味している。 -
Strandの心理学用語には『より糸』の意味がある。
人が人格や社会性を獲得する過程を、細かい糸がより合わさって
太い縄になるという捉え方。鎖や絆ともとれる。
タイトルのストランドには、『座礁』と『縄』という二つの意味がある。 -
ティザー映像には、臍帯・手錠など縄のモチーフと、
生物の座礁という二つのストランドが表現されている。
また他にもヒントがあり、ドッグタグの数式もその一つとなる。 -
コインゲームの時代から、ゲームのやり直し『continue』が表示されるが、
ゲーム中での失敗はキャラクターの死でもある。
今作では物語でもゲームシステムでも死を描きます。
しかし、死(デス)の意味は、これまでのゲームとは異なる。 -
ゲームの操作性はこれまでと変わらない。
車に例えると、乗り慣れた車に乗るイメージ。
アクセルもブレーキもハンドルも見慣れた車。ストレスなく車を運転していると、
しばらくして全く違う体験をしていたことに気付く。 -
小島監督が大好きな安部公房に「なわ」という短編がある。
『棒』と『縄』がテーマで、今作でも棒は使います。でもそれだけじゃない。
縄を使って人や世界とどう繋がるか。棒だけじゃなく、縄で何ができるのか、
それをみんなで遊びながら考えるゲームになる。 -
デス・ストランディングは、ゲームをジャンルで分けることに積極的な意味はないが、
新しいジャンルのゲームになるはず。
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クジラやイルカが大量に海岸に打ち上げられる現象をマス・ストランディング、
DEATH STRANDINGのインタビュー感想
そういえばステルスとは、いつ頃から言われるようになったんだろ!?
デスストランディングは、特にジャンル名が無いとな。一体どんなゲームなんだろう!?
そういえばメタルギア1の頃は、ステルスゲームというジャンルはなかったかと。
自分の周りでは『かくれんぼゲーム』と呼ばれていたかな。
アクションゲームなんだけど、ちょっと違うみたいな。
『ステルスキル』という言葉にしても、いつ頃から自然と言われるようになったんだろ?
海外で使われていた言葉が、日本に輸入されたと思うが、
PS2~3年代の頃は「背後攻撃」とか「不意打ち」「ステルスアタック」とか、
人によって曖昧な言葉が使われてた気する。
メタルギア1が発売した頃は、インターネットが広く普及している時代ではなかったので、
ずいぶん後からステルスという言葉が定着したような。
一般家庭でネット環境が整うようになってきてから、一気に広がった気がします。
デスストのジャンルは何かしら♪
とすると、デスストランディングのジャンルは何になるだろう…?と予想すると、
まったく新しいタイプであれば、「デスストランディングみたいなやつ」とか
「小島ゲー」「デスストゲー」とか呼ばれそうな気がするw
+αでゲームがつまらなかったりすると、
「デスストクソゲー」と追加補正されるみたいなw
いずれにしても、武器は棒状で、縄を繋がりとした道具が登場しそうな雰囲気かな。
ダークソウルのように相手に侵入して、世界とか何かを共有できる繋がりができるんだろうか!?
とにかくオンライン要素を持つゲームなんだと思うね。