吉田直樹プロデューサーの開発インタビュー:FF16はオープンワールドではなく、リニアで展開する物語で制作している

FF16のプロデューサーを務める吉田直樹氏が語る開発インビューまとめ。
ファイナルファンタジー16の経緯や開発状況、気になるゲームシステムがどんな内容になっているのかなど、
メディアの取材で明らかになった新情報があります。今作はオープンワールドではなく、リニアで物語が展開する。
吉田直樹プロデューサーのFF16に関するインタビューまとめ

2022年6月22日、各メディアが吉田直樹プロデューサーにインビューしたFF16の記事を投稿してました。
どのメディア(電撃 / ファミ通 / GAME Watch / 4亀 / PSブログ)も似たくさい内容だったので、
おそらくスクウェア・エニックスが、メディア向けに合同インビューを開催したのだと思われる。
FF16の動画を見てるだけでは分からない新情報なども発言しており、少し長いですが、
本作はどんなゲームなのか全体像が見えるインビューになっているかと思います。
いくつかインビュー内容をまとめてみました。
- ■FF16の開発について
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吉田直樹氏がFF16のプロデューサーを担当することになった経緯は、
2014年か2015年のときに、スクウェア・エニックスの社長・松田洋祐氏から、
第三開発事業本部で次のFFのナンバリングを作れないかと言われたのが最初。 -
吉田直樹氏はFF14のプロデューサーを務めていたので、FF16のディレクターをやるわけにはいかず、
古くからFFを知り、開発チームからも人望が厚かった、髙井浩氏をディレクターに指名して快諾してもらえた。
2015年11月あたりのタイミングで開発がスタートした。 -
FF16の初期開発メンバーは、4人(吉田直樹氏、髙井浩氏、前廣和豊氏、権代光俊氏)からスタートした。
最初の頃はFF14を軌道に乗せる必要もあったので、企画や試作で駄目なら引き返す必要もあったが、
前廣氏がメインシナリオを先行させて少人数で進め、時間をかけてFF16を作っていくと会社に話した。 -
少人数でスタートさせた理由は、開発初期は曖昧で何も決まっていないため、
そういった状況で人が増えると、何かを作って愛着が湧いて固執したりして、切り捨てれなくなる。
全部を丸く収めようとすると、中途半端なものが出来てしまう。そこに人材が足りなくなったりして、
人を増やせば同じ繰り返しが起こって中途半端になり、人・努力・お金が無駄になるから。 -
初期段階の開発では、どんなFFが良いかを話し合い、FFに抱くプラスの要素だけでなく、
足りていないマイナスの要素も言い、屈託なく話し合った。
世界規模でFFのフランチャイズはゲーマーにどう思われているかなども調査し、コストをかけて実施した。 -
1回しか使わないソファーのために、わざわざ物理計算で動く制度で作るのかと思うと、
画作りは実写で作ったほうが早いんじゃないのかと何度も思った。
かといって沈まないソファーは不自然すぎる。
キャラクターの衣服の接触面も、物理計算ではどうにもならないものもある。 -
FF16のロゴデザインは、今回も天野喜孝先生にデザインしてもらい大きな意味があり、
対になった2体の召喚獣だが意味はまだ秘密です。 -
召喚獣同士の激突を描こうというのは最初から決めていた。
召喚獣がいて、マザークリスタルが存在する。その設定を決めた後に、
世界地図を描いて、国同士の争い、その国のテーマになる召喚獣はこれだと話を広げていった。 -
リアルタイムレンダリングにこだわって作っているので、ロードがないことに注目してもらいたい。
ただしプリレンダリングでのクリエイティブを得意とするチームとも協力しており、
映画『キングスグレイブFF15』を作った野末武志氏のチームにもガッツリ参加してもらい、
演出やコンテ、いくつかのパートの監督を一緒にやってもらっている。 -
レーティングは審査が通るよう、17歳以上対象までターゲットを上げて、ギリギリのことをやっている。
理由は痛みを感じれる表現、心の痛みや肉体的な痛みがあると思うが、
それを伝えて、感情として伝わるかなというところにこだわって制作してます。
そこの表現の幅を広げるためにも、今作はレーティングを上げた。 -
3月公開予定だったFF16のトレーラーが6月になったのは、世界規模で大混乱している状況下、
ゲームメーカー各社が自分たちのスタンスを明確に出せていない状況もあった。
SIEと協議して3月公開は一旦取りやめにしたいという話をした。 -
FF16のコンセントを一言でいうなら、超ド級超高速ジェットコースター。
トレーラーのすべてはインゲームで、95%くらいリアルタイム処理。
ガルーダが吹き飛ばされるシーンや、街の全景を見るシーンなど、基本はリアルタイムで処理している。
大人数の戦争シーンなんかは、リアルタイムレンダリングとプリレンダリングの一部を合成している。 -
現在のゲーム開発は、オープニングからエンディングまで通しでプレイできる状態になっている。
これからチューニングをしながら、カットシーンでは演出に納得いかないもの、テンポが悪いものは、
尺を間引きしたり、つなぎ合わせを変えたりしながらブラッシュアップしていく。
それと大規模デバッグを行い、しっかり仕上げていく。 -
フルボイスで先行していた英語はかなり仕上がり、メインストーリー部分の日本語収録に終わりが見えてきた。
多言語数も多いため、膨大なテキストのボイス収録作業が山場として進行中。 -
並行してデバッグやメモリの最終押し込みと最適化、グラフィック向上を続けていく。
シナリオは収録を残すのみで、テキストはサイドクエストの一部以外は、ほぼ完パケ状態。
90%以上実装が完了している。こちらも濃いストーリー体験をお届けしたい。 -
次回のFF16の情報公開は、秋くらいを想定している。
動画構成のVコンテは上がっていて、キャプチャーや編集、ナレーション制作に入るところ。
次のトレーラーではストーリーや世界観を、もう少し踏み込んで伝えたいと思っている。
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吉田直樹氏がFF16のプロデューサーを担当することになった経緯は、
- ■FF16のストーリーや世界観について
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FF16の舞台は現実世界でイメージするなら、中世ヨーロッパに日常道具として、
魔法が存在しているというファンタジーな世界です。 -
FF16ではクライヴの生涯を少年期、青年期、壮年期の3つの時代に分けて追いかける。
どんな境遇に置かれた少年期、なぜこうなった青年期、すべてを背負って進む壮年期という感じで。 -
世の中は夢物語ばかりじゃないのが当たり前で、常にいろんなものに追われて現実を知ってしまう
機会が訪れるものだ。彼らに向けてものを考えると、現実を踏まえて、それを乗り越えていく
王道のファンタジー物語が第三開発事業本部が得意な感じがするので、
そんな感じのストーリーにした。リアルから離れすぎていると夢物語になりすぎるんじゃないかと。 -
映画や小説、アニメなど感情移入のさせ方が素晴らしいと感じて泣かされたので、
FF16の物語はじっくり腰を据えてクライヴの生涯を追い、丁寧な人や価値観、
それぞれの持つ正義をテーマに描くスタイルになっている。 -
世界観は魔法の源となるエーテルを発するマザークリスタルがあり、油田のようなもの。
そして核兵器のような軍事力として召喚獣がいたらどうなる?をベースにしたストーリーです。 -
召喚獣の数はある程度絞っており、それぞれが核兵器並の扱いのため、数は多くはない。
エーテルを生み出すマザークリスタルが枯渇し始めたことで均衡が崩れて、
一線を越えた召喚獣同士の戦いが始まったという展開になっている。 -
召喚獣は国ごとに1体の守護神として存在するイメージで、召喚獣の扱いについては、
国や宗教観で異なっている。なぜそのようなルールになっているのかは話せない。
召喚獣は各属性で1体しかいないというのが原則ルールになっている。
しかし、炎の召喚獣はフェニックスのはずだが・・・・・・というところが物語の起点になっている。 -
クライヴの出身であるロザリア公国では、嫡子がフェニックスのドミナントとして生まれている。
鉄王国では召喚獣は生体兵器として扱われ、ドミナントは人質にされて道具として酷使されている。
ダルメキア共和国では、タイタンのドミナントが評議会顧問となっている。
そういったドミナントたちの宿命から生まれるドラマを描いてます。 -
ドミナントは力を行使するだけで身体を蝕んで召喚獣となり、人ならざる者になってしまうとあったが、
彼らは一度召喚獣になってしまうと、人間には戻れない分けではなく、一応戻れる。
しかし、戻っても重大なリスクを背負うなど、召喚獣になるとことで何かしら犠牲が伴う。 -
ゲーム進行はFF15のような自由探索というより、
FF13のようなリニア式(ストーリー分岐がなく、1本道の物語)な展開で進む。
その分、超高速ジェットコースターというイメージで、「全部のフィールドが狭いのか?」ということもなく、
4フィールドくらいは結構な広さがある。 -
世界観を知れるサブクエスト、隠しボス的な敵を倒すモブハント、
モンスターから素材を調達して装備をクラフトしたりなど散りばめてある。 -
動画に映っていた子犬は、犬というより狼に近い動物。名前はTorgal(トルガル)。
パーティメンバーの一員かどうかについてはお待ち下さい。
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FF16の舞台は現実世界でイメージするなら、中世ヨーロッパに日常道具として、
- ■FF16のゲームシステムについて
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今回はコマンドバトルとターンベースのバトルシステムは採用せずに、完全なアクションRPGにした。
オープンワールドについては、迷うくらいならしなくていいと決めた。 -
ディレクターの髙井氏も、FFはスケールが大きくあってほしいと思ったが、10年・15年開発できないし、
オープンワールドを作るのは物理的にも、ゲームデザイン的にも不可能だと考えた。
「15年かけていい」と言われたら、オープンワールドに挑戦するかもしれないが、
開発中に感性が古くなり、時代と合わなくなる可能性もある。 -
コマンドバトルにしなかった理由は、従来のFFがコマンドだったが、
次世代のFFシリーズ開発者に引き継いでいくためにも、「こういうFFも有りだよね」と、
アクションに突き抜けた作品を作っておく必要があると思ったから。
驚くほどのテンポやスピードで遅いかかってくるゲーム体験、興奮を実現するため努力を続けている。 -
バトルでは複数のスケールが存在し、クライヴの等身大のバトルのほか、
手に入れた召喚獣の力をリアルタイムに切り替えて、
いわゆる中ボスくらいまでのスケールのエネミーと戦うことができる。 -
超巨大召喚獣vsクライヴといったスケール差のあるバトルなど、リアルタイムにこだわって構築している。
召喚獣同士のバトルもあり、3つのスケールでイベントや演出、プレイアブルを加えて
PS5の性能を活かしてローディング無しでシームレスに繋がっている。 -
FF16では、召喚獣をプレイヤーに操作してもらうつもりで開発している。
中にはイベントバトル形式もあるが、とにかく最大級に派手なボスバトルになってます。
例えば召喚獣のバトルでは3Dシューティング、プロレスのような重量感、エリア全体と戦うバトルなど、
ボスバトル専用が作られており、毎回違うゲームデザインになっている。 -
召喚獣同士のバトルは、シンプルに見えるように要素を削っていったら、格闘ゲームみたいなUIになった。
召喚獣の操作など、ネタバレ防止のためにUIは非表示になっているものもある。 -
召喚獣同士のバトルは、ストーリー上、敵味方の組み合わせは固定。
ストーリーとバトルがすごい勢いで進むので、止めどきが見つかりにくいかもしれない。
バトル中でもフルボイスのカットシーン中でも、ポーズはいつでも自由に効く。 -
動画ではクライヴが1人で戦い続けるイメージがあるが、仲間たちも存在しており、
クライヴと共に行動する。バトルではAIで仲間が動いて戦ってくれます。
その他、バディと呼ばれる存在が1体同行して、多くのバトルで一緒に戦ってくれる。
大型ボスバトル以外は、1人で戦うことはほとんどない。 -
バディには、ヒールや特定の敵を攻撃するような、マニュアル的な指示も出せる。
すべてAIに任せて自分は操作に集中する遊びも可能。
バディはモーグリ的なものではない。クポクポ言ってたら世界観が壊れそうだ。 -
アクションゲームが不慣れな人のためにも、ストーリーフォーカスとアクションフォーカスという
2つのゲームモードが用意している。難易度イージー/ノーマル/ハードといった選択ではなく、
ストーリーに集中したい方向けにストーリーフォーカスがあり、アクションを楽しみたい方向けに
アクションフォーカスで分けてある。どちらも物語の内容そのものには変化はない。 -
ストーリーフォーカスモードは、難易度イージーということではない。
ストーリーフォーカスとアクションフォーカスのモード選択により、
クライヴの装備セットアップが変更されて、それぞれの目的に適したバトルサポートシステムが機能する。 -
クライヴのアクションは、装備のアクセサリーの使い分けで、どこまでオートにするか、
任意で操作するか設定できるようになっている。例えば直前被弾スローと呼んでいるアクセサリーは、
攻撃がヒットする数フレーム前から、時間の流れがスローになる。
3秒ほどの猶予があり、そこでR1を押すとクライヴが超スタイリッシュに回避してくれる。 -
クライヴはリアルタイムで、召喚獣アビリティやアクションの切り替えが可能。
例えばガルーダで敵を打ち上げて、タイタンに切り替えて打ち下ろしたり、
シヴァで氷漬けにしてからフェニックスで突進したりもできる。
操作難度はそれなりに高いが、ある程度は自動的にアクセサリーで行ったり、任意で選択可能。 -
動画配信者がどのモードで、またどんなアクセサリーを使っているのかなど、UIで分かるようになっている。
2周目ならではの要素ではないが、各ステージのスコアアタック、特定の召喚獣アビリティのみで
攻略する装備制限など、やりこみ要素なども用意されている。クリア後は高難度モードも追加される。 -
HPゲージの上に複数アイコンが並んでいるが、そのアイコンでどのサポートアクセサリーを
付けているのか分かるようになっている。 -
バトルではHPゲージの下に細かいゲージがあるが、それは敵を気絶/テイクダウンするためのゲージ。
自分で編み出した最大火力のコンボで叩き込みたいときに、敵のテイクダウンに合わせて
狙ったほうが決めやすい。クライヴはそのゲージを多く減らしたり、HPダメージが大きい攻撃もある。
テイクダウンに合わせるために、召喚獣アクションを温存する判断も有りだ。 - フォトモードはある。SSコンテスト開催のようなものは考えてはいない。
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FFシリーズといえばジョブだが、開発中も何度か浮上したが、採用には至らなかった。
召喚獣アクションにジョブの要素を入れると、どうしても内容のイメージに制約が出てしまうし、
まったくファイナルファンタジーを知らない人にも遊んでほしいという思いもあり、
分からないことを減らしたかった理由の一つとなる。 -
クライヴがナイトと呼ばれていたのは、ロザリア公国でフェニックスを守るガードという意味の
ナイトという称号なだけで、ジョブの要素が入っていないわけではない。
トレーラーでは敵として竜騎士が登場して、簡単にやられていたが結構強い。
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今回はコマンドバトルとターンベースのバトルシステムは採用せずに、完全なアクションRPGにした。
感想

FF16の開発が順調に進んでそうでなによりだ。
すでにこの時期からオープニング~エンディングまで、骨組みが完成してたりするもんなんですね!
この様子からすると、FF16の発売日が延期せずに済みそうか!?
オープンワールドじゃないなら、困ったバグもあんまり出なさそうかも。
全体的に『超ド級超高速ジェットコースター』が、良い意味なのかどうか気になった。
リニアで進む物語だと、FF13のように「5年も開発して一本道ゲーなのかよ!」と過去に叩かれまくったが、
あんな風に見て取られてしまうと、「また同じ過ちを・・・」とか言われるのは想像がつく。
ファイナルファンタジーシリーズといえば、最新の技術でゲーム業界を牽引してきた部分もあるので、
FF16はどの辺りが新しいのか?が気になるところかな・・・。
だいぶ叩かれたものの、FF15なんかは開発スタッフが作る前からいろいろと無理だと渋ってたが、
説得させてオープンワールドで作り上げた点は、田畑端氏の功績なんだろうなと思うところがある。
物理的に難しい、容量が、制作期間が、予算が・・・と大企業が言っているなら、
ゲームはこれ以上進化はなく、もう頭打ちになってしまうだろう。
そうなるとクオリティの高いグラフィックとかでしか誇れるところがなくなってくるため、
アクションゲームへ移行せざるを得ないはずだ。
もっともファイナルファンタジーは、3Dになるとムービーゲーに寄りがちな面もあったので、
アクションRPGになったことは、それはそれで良かったと私的には思っているが、
スクエニの調査で今の若い世代は、『コマンド』の意味すら知らなかったのには驚いた!
あれなんでしょうねぇ・・・。
ゲームに初めて触れたときから、すでに海外ではFPSで、日本ではモンハンみたいなのが流行っていて、
そのジャンルばっかずっと遊んできたみたいな感じなんだと思う。
つっても、ポケモンはだいぶ売れたかと思ったけど、あれとも層が違うのかな~